はじめまして 清水かおりと申します。
大学を卒業してから25年あまり動物病院の獣医師として、飼い主さんと動物たちの絆を守るお手伝いを続けてきました。
会社員の夫と共に一男一女を育ててきましたが、その子どもたちも今はどちらもわがやを巣立ち、それぞれの道を歩んでいます。
そんな私が今度は「日々のごはんと暮らしごと」をテーマにごはん教室を開くことを決めました。
一体どのような教室なのか、どのような思いを込めたのか、少しお話させていただきます。
わが家を見守る大きな食卓
わが家の居間には「栃」の木の無垢材でできた大きな食卓があります。
たくさんの人が集えるようにと、ずっと憧れていた大きな座卓をリノベーションと同時に購入して以来、もう20年近くもわが家の中心にどっしりと腰を落ち着けています。
食卓にとどまらず、子どもたちの勉強机に、あるいは夫の仕事机に、時には卓球台にまでも姿を変えてわが家の暮らしに溶け込んできてくれました。
表面にある子どもたちの残した落書き、たくさんの手垢、猫たちのひっかき傷・・・と同じくらいの思い出がこの食卓には刻まれています。
私もこの食卓で書き物をしたり裁縫をしたり・・・。
そしてもちろん春夏秋冬の数え切れない日々のごはんやおもてなしの料理を家族や友人のためにこの食卓に並べてきました。
暦と共にうつりかわるわがやの日常茶飯事をずっと見守り続け支えてくれたこの食卓。
わが家という場所で、季節を感じるごはんの作り方や暮らしの工夫をみんなで楽しく分かち合う、そんなごはん教室が開けたらと思い始めたのも、この食卓があってこそのことなのです。
忙しい日々 「ていねいな暮らし」への憧れ
その昔、動物病院で働き結婚をしたばかりの頃の私は、朝早くから時には深夜まで一日のほとんどを職場で過ごす多忙な日々を送っていました。
ともすれば、その日が晴天だったのか雨天だったのかさえ気づかない毎日。
あっという間に季節が過ぎ去り、お盆もクリスマスもお正月も無関係に進んでいく仕事。
外食や深夜食の多い日々の食卓。
憧れはするのにほど遠い、「ていねいな暮らし」。
「ていねいな暮らし」と聞いて、みなさんはどのような暮らしを思い浮かべられますか?
掃除の行き届いたきれいなお部屋に花を活ける、お出汁をきちんと引いてお料理を作る、年中行事を大切に祝う、四季に応じた模様替えをする、お茶を点てる、人をお招きしておもてなしをする・・・日本の四季を感じながら、流れゆく時をゆったりと味わう・・・
「ていねいな暮らし」とは、時間とお金にゆとりのある人だけが味わえる贅沢なひととき、私もそんな風に思うひとりでした。
そして、今の仕事をしている限りとうてい手にいれることはできない、自分とは無縁なものと思い込んでいたのです。
子どもたちが通う保育園とのすてきな出会い
子どもたちが生まれ、子育てをしていく中で、私にとってわが家にとってとても大きくて素晴らしい出来事がありました。
それは、保育園との出会いです。
そこでは子どもたちの日常茶飯事や暮らしごとがとても大事にされていました。
決して贅沢な食材ではないのに、ていねいに作られたおひるごはんやおやつ。栄養のバランスばかりか四季の行事を大切に練られた献立表。
食べる人の暮らしや気持ちを思って作られた給食には、食べることでおなかも心も満たす理想の形がありました。
私もすぐさま真似をして、わがやの日々のごはんと暮らしごとを見直してみることにしたのです。
日常茶飯事で心を満たす
「ていねいな暮らし」はしたいけれど、仕事に、子育てに忙しくってとても無理無理、とみなさん思っておられませんか?
たしかに時間がないのは事実なので、新たに何かを始めるということは望めないかもしれませんが、今の暮らしの中にちょっとした工夫を取り入れることで、暮らしが俄然彩りを増すことを、私は子どもたちの保育園の日々から教わることができました。
まずは手始めに、毎日必ずやってくるごはんの時間をそれにあてれば、食卓から少しずつ暮らし方が変わってきます。
旬を意識して食材を用意する、季節に応じて器を使い分ける、たったそれだけでも食卓に季節の風が吹いてきます。
節分やお雛祭り、端午の節句、七夕、お彼岸に冬至・・・日本には四季に応じた昔ながらの行事食があります。完璧に用意はできなくても小さな創意と工夫だけで、行事に込められた先人の思いを味わうことも可能です。
時には仕事帰りに摘んだ道端の野草を箸置きにしてみたり、葉っぱをお皿代わりにしてみたり、そんなほんの少しの手間がいつか楽しみになった時には、みなさんの日常茶飯事がきっと心を満たすものになっているに違いありません。
ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から。
これが、私があらたに開くごはん教室でお伝えしたいことなのです。
倶楽部のようなごはん教室を
私が開くごはん教室の中心は、わが家の居間の食卓です。
そこには豪華なテーブルフラワーや高価な器はありません。
私の暮らしごとをずっと見守ってきてくれた傷だらけのこの食卓を囲んで、月に一度、母が子に孫に伝えるように、一緒にごはんを作りながら暮らしの智恵を分かち合い、楽しいおしゃべりの花を食卓いっぱいに咲かせるような、教室と言うよりもむしろ休日の倶楽部活動のようなそんな教室を開きます。
日本の四季を楽しむための日々のごはんやおもてなしのごはんを紹介しようと思います。
お天気の良い日には、お弁当を作って外に出かけるのも楽しそう、色々な企画も考えています。
お料理の好きな方、苦手な方、同世代の方、若い方、ご自身の日々のごはんと暮らしごとを今よりもほんのちょっぴりていねいなものにしたいと思ってらっしゃる方ならどなたでも来ていただけます。
開講は、来年3月、桜のつぼみが色づく頃の予定です。
春待ちのさくらごはんをみんなで一緒に作りましょう。
どうかよろしくお願いいたします。