母になること、祖母になること

お料理教室の合間の週末の今日は、出産で里帰りしている娘が結婚式に出席するというので、朝から一日、孫を預かることになりました。

ミルクを飲ませたりおむつを替えたりしながら、仕事もしたいなあと思いつつ、パソコンや本やカップやらを手の届く範囲においてともかく赤ちゃんの傍らに座りました。

片手であやしながら片手でパソコンを打ち、とやっていると、自分がわが子の子育てをしている頃にタイムスリップしたような気になりました。

仕事も暮らしも忙しくて時間が足りなくて寝不足で常に何かに焦っているような日々でしたが、母となって子育てをすることで得た何よりの幸せは「子どもたちと共に自分も幼い頃の子ども時代を生き直す」ということでした。                                               

幼い頃の子ども時代を生き直すこと。                                     

たとえば、子どもたちと一緒になって、山道や畦道を歩いて出会った小さな発見に心を躍らせたり、風のそよぎや道ばたの草花の囁きに耳を傾けたり。

日々の暮らしの中で子どもたちが出会うたくさんの小さな小さな驚きや感動を、私も一緒に、大人の自分ではなくて「子どもの私」の目で眺め、「子どもの私」の心で感じとること。                                             

忘れていた草花の名前を思い出したり、新たに知ったりすること

見たこともない恐竜の名前をあれもこれも憶えること

今まで知らなかったステキな絵本にたくさんたくさん出会えること。                            

自分もきっと幼い頃に感じていたに違いないのに、大人になってもうすっかり忘れてしまっていた「子ども心」を取り戻すことができるとは・・・そのことがうれしくて、時には子どもたちよりも夢中になって草むらに入ったり本を読みあさったりしたのが、今でも懐かしく思い出されます。

祖母となった今、病院で出会った赤ちゃんの顔を見て一番に感じたのは、またあのワクワクする「子ども心」をこの子といっしょにときめかすことができるのだ、という喜びでした。

もう一度、忘れていた「子どもの私」が記憶のかなたからやって来てくれるのです。

今度はどんな感動を思い出させてくれるのでしょう、今からとても楽しみでなりません。                                    

母になるって、祖母になるって、自分が忘れてしまった子ども時代にふたたび三度(みたび)戻れること。懐かしい「子ども心」を取り戻すこと。

だから余計に子どもたちや孫たちのことが愛おしいのかもしれません。

おっと、傍らで、ちょうど赤ちゃんが泣き出しました。ミルクの準備に立ち上がるとしましょう。


投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。