10月のうつぼ公園夜教室風景

10月のうつぼ公園夜教室

旬は10月の3週間だけ。

これを食べないと関西の秋は来ない、くらいに有名すぎる秋の風物詩、丹波黒大豆枝豆。

丹波篠山、福住の若き生産者「ノウカナガイ」さんから届いたばかりの穫れたての黒枝豆と、これも同じくノウカナガイさんの落花生を使って美味しい豆尽くしの一汁三菜ごはんを作りました。

テーマもずばり、

「穫れたてってこんなにおいしい!黒枝豆の旬を楽しむ一汁三菜ごはん」

10月のメニュー

  • ウェルカムおつまみ:茹で黒大豆枝豆
  • 黒大豆枝豆とパプアニューギニア海産えびの揚げ春巻き
  • 柿と黒豆と春菊の落花生入り高野豆腐白和え
  • 鶏肉と落花生と里いものアジア風煮込み
  • 黒大豆枝豆ごはん
  • 炒り豆ともみじ麩のおつゆ

10月の教室風景

今月のお箸置きは、ノウカナガイさんの大きな落花生にあやかってどれも落花生にしてみました。リアルなのも、デザイン性が高いのもお箸を置くにはちょうどよい形です。

本当は、本物のおおまさり(落花生の品種です)が届いたら、ひつ粒ずつお箸置きにするのに取っておこうと思っていたのですが、気がつけば全部食べていたという大失敗。

白あえを盛るのに使ったこちらの塗りの器は、実はお椀の蓋。裏面のこの萩の花の絵がとてもすてきなので、取り皿やかわいい盛り皿として使っています。表面にはコオロギがぽつんと。

この季節だけに使える粋な絵柄がお気に入りです。

さ、今月の献立をひとつずつ簡単に紹介していきましょう。

丹波黒豆枝豆とパプアニューギニア海産海老の揚げ春巻き

枝豆と海老は、春巻きでもかき揚げでも楽しめるベストマッチな揚げ物具材の組み合わせです。

特に揚げ春巻きは、具材の火の通りも早く、油も汚れにくいので、揚げ物初心者さんにはオススメです。

今回は、フライパンを使って少ない油で揚がるように、春巻きの皮を半分にして、黒枝豆と同じ大きさにカットした海老を交互に並べてくるくると細く巻き上げて作る細身のスティックに仕立ててみました。

おかずがたくさんあるときには、このくらいのボリュームがうれしいですね。酒肴にもぴったり。

揚げたての春巻きのパリッとした皮を通して海老とお豆の色が透けて見えたときに、美味しさももちろんですが見た目のかわいらしさが食欲をそそります。

オススメは、お塩。熱々に、抹茶塩や黒七味塩なども美味しいです。

柿と黒豆と春菊の落花生入り高野豆腐白和え

うつぼ教室でも度々登場する、厚揚げ白あえ。

お豆腐で作るのと違い水切りが不要なため、思いたったらすぐに作れる便利さと、滑らかな舌触りとはひと味違う独特の「田舎風のぼそぼそした食感」がたまりません。

今回は、さらに趣を変えて、高野豆腐で作ります。

ぬるま湯で戻すか熱湯で戻すかで食感の変わる高野豆腐、とろとろからぼそぼそまで、様々な戻り具合を楽しんでみるのも高野豆腐を使う楽しみでもあります。

今回の仕上がりは、ちょうどお豆腐と厚揚げの中間くらいになりました。

このあえ衣に、茹でた落花生をくわえて粗くすり混ぜて、落花生の食感も残します。

たくさん茹で落花生がある場合には、練り胡麻の代わりになるくらい摺り落花生を加えるとより落花生の風味豊かなあえ衣ができあがります。

柿と共に使った黒豆は、やはりノウカナガイさんのところのもの。今回の黒豆枝豆が成長して種子になって収穫され、乾燥させたものがこの黒豆。

黒枝豆と同じく、粒の大きなりっぱな濃い味の黒豆です。

優しい甘さの柿と風味豊かな黒豆と味の引き締め役の春菊、そこに高野豆腐も加わって、ホッと心の和む優しい味に仕上がりました。

鶏肉と落花生と里いものアジア風煮込み

アジア料理によく登場する落花生なので、今回は同じくアジア料理と相性のよい里いも、鶏肉と合わせて煮物に仕立てました。

ニンニクとしょうが、スパイシーなイエローカレーペーストで炒めた鶏肉に里いもと落花生を加えてナンプラーとみりんで煮込み、、仕上げにココナッツバターを加えると、上品な、でもアジアの香る煮込みができあがりました。しっかりと落花生の香りもします。

黒糖やココナツミルクで煮込めば、さらにこくのある煮物に仕上がりますので、お試しを。

黒大豆枝豆ごはん

黒枝豆が手に入ったら、まず作りたくなるのがこの枝豆ごはんです。

春にいただくえんどう豆ごはん、夏の枝豆ごはんでは、季節に合わせて豆の美しい翡翠色を際立たせるために、豆を別茹でして、炊きあがったごはんと混ぜ合わせる事も多いですが、この黒枝豆の場合は、いつも最初からお米と一緒に炊き込むことにしています。

なぜかというと、やはり一緒に炊いた方が枝豆のうまみがごはんにしみ込んでおいしいのと、黒い薄皮のまま炊き込むことでこの季節ならではの枝豆ごはんの彩りになると思うから。

それに、ケの日のごはんには、別茹でしてあとから加えるやり方よりも、お豆の彩りは少々落ちるけれど手早くできてしかもおいしい炊き方の方がふさわしい気がするのです。

祖母や母が作ってくれていたお豆ごはんも、一緒に炊き込むそれでした。台所からだんだんと漂ってくる、お豆さんの炊けるかおり。炊飯器のフタを開けると少し色あせたお豆たち。

懐かしくてそして心が安らぐ思い出です。

さて、作り方はいとも簡単。

生の枝豆のさやはとても固くて中の豆を取り出すのはたいへんなので、1〜2分さっと茹でて中の豆を取りだし、水加減したお米に加えます。

炒り豆のおつゆ

手軽に作れるおつゆとして、今回は炒り豆を具材にしたおつゆを用意します。

使用する豆は、間作大豆と青大豆。

さっと水で洗った大豆をフライパンでから煎りし、少しはじけて焦げ目がうっすらついてきたら、熱々のだし汁に入れて15分ほど煮込むだけ。

うっすらと色づいた初もみじ麩を仕上げに乗せれば、秋の彩りのおつゆのできあがりです。

丹波篠山の黒大豆枝豆、落花生、黒豆、そして北海道の間作大豆と青大豆、フレッシュな豆、乾燥豆・・・色々なお豆さんに登場いただいたしあわせな今月のごはんでした。

ノウカナガイさん、美味しいお豆をありがとうございました。

投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。