気軽に節分行事食〜1月のうつぼ公園夜教室風景〜
1月のうつぼ公園夜教室
例年にない暖かい日々で始まった令和2年。
二十四節気では「大寒」なのに、今年最初のうつぼ教室も、雪ではなく雨が降るあたたかい日から始まりました。
1月のテーマは「NEO style 節分料理と初午いなりずし」
1月も半ばを過ぎると、いたるところに「節分、恵方巻き予約受付中」の看板が目につくようになります。
本来は、暦の流れと共にあるはずの行事が、イベントの告知のようになってしまっているのは、少し残念な気持ちです。
恵方巻きなんて、昔は食べてなかったし、寿司業界の策略では、などとひねくれ者の私は恵方巻きを「ある方角に向かって、無言で、丸かじりで」食べることにはなぜか抵抗があります。
だからといって、「節分」そのものをスルーしてしまうのはちょっと寂しいし、やっぱり忙しい毎日の中でも暦のくぎりをつけて春を迎える気持ちになりたいし・・・。
ええい、それなら、いっそ、うちで節分料理を作ろう、と考えてはみたものの、遅い帰宅で巻きずしやいわしの煮物を作るのはとうてい無理。
ということで、前日の夜に少し準備をしておけば、帰宅してからでも作れる節分料理を考えるようになりました。
今月はそんなお料理の中からいくつかを紹介させていただきました。
1月の献立
- オイルサーディンと八朔のマリネ
- オイルサーディンと菜の花のパルミジャーノソテー
- 黒糖おいなり恵方巻き
- 生春巻きの変わり恵方巻き
- 初午いなりずし
- 呉汁
教室風景
オイルサーディンでいわし料理2種
滋賀県の大津市で過ごした子どもの頃、友だちの家の玄関先に柊の枝に刺したいわしの頭が飾ってあったのを憶えています。それが節分の風習だと知ったのは、少し後になってから。
節分は、もともと年に4度ある「季節を分ける」日、とりわけ冬と春の変わり目の節分の翌日は立春、すなわち新しい年の始まり、ということで、大晦日にあたる節分の日に邪気払いをして無病息災を願うのが「節分」行事の始まりだそうです。
邪気の象徴である鬼の苦手なものがいわしのにおいと柊の棘。それを玄関に飾って災いを封じ、それに因んでいわし料理を食べる。
そう考えると、節分には恵方巻きよりもむしろいわし料理が外せません。
節分の当日に帰宅してからでも作れるいわし料理。それには、オイルサーディンを使いましょう!
焼いたいわしもいわしの梅煮ももちろんおいしいけれど、こんなにおいしいいわしの缶詰を常備しておいたら、きっと心が軽くなるに違いありません。節分の日に限らず、ササッと作ったらお酒のあてに。
ポイントは、おいしいオイルサーディンを見つけること。
私のお気に入りは目下のところ、これです。
竹中缶詰さんの「天橋立 オイルサーディン」
以前は、日本海に行ったときのお土産に買って帰ってきていたもの。今では、こだわりのスーパーマーケットでも手に入るようになりました。
いわし臭さがないのと、漬けてあるオイルが「綿実油」なのでいろいろな調理に使いやすいという点がお気に入りのポイントです。
https://takenaka-kanzume.co.jp/
もちろん、他にも美味しいオイルサーディンは国内のご当地ものや輸入物でもあると思うので、みなさんのお気に入りを見つけて下さい。
さて、今回ご紹介するのは、
オイルサーディンと八朔のマリネ
《サクッとレシピ》
・八朔は皮をむいて実を取り出す
・オイルサーディンの漬けてあるオイル(他のオイルでも)に八朔の果汁とレモン果汁、塩少々を混ぜて、オイルサーディンと八朔の実をしばらく漬けておく
・お皿にサーディンと八朔を並べ、漬け汁を上からかけて、ディル、刻んだ大徳寺納豆をぱらぱらとふりかける
オイルサーディンと菜の花のパルミジャーノソテー
《サクッとレシピ》
・菜の花は予め水につけてシャキッとさせ、茎、つぼみ、葉っぱに切り分けておく
・水炒めする・・・フライパンに水大さじ1くらいを熱して、茎、つぼみ、葉の順にさっと炒め、お皿に取る。水は無くなりかけたら適宜足しながら。
・同じフライパンにオイルサーディン缶の油とにんにくを入れて熱し、香りが立ってきたら、サーディンを入れて炒める
・菜の花もフライパンに戻して、一緒にさっと炒めてペッパーを好みで振り、お皿に盛る
・パルミジャーノ・レッジャーノを上から散らす
時間がなければ、恵方巻きは買って、いわし料理だけうちで作る。それだけでも、きっと節分の意味を意識して心に春を迎えることができると思うのです。
恵方巻き2種
ハードルが高そうに思える恵方巻きですが、うす揚げをくるくると巻いて作る変わりおいなりさんは、前日にお揚げを煮ておく、炊飯の予約をしておくというひと手間をかければ当日は30分もあれば十分。
予めのお揚げの準備は、お揚げを開く(3分)油抜きのために煮る(2分)、煮汁で煮る(10分)の3ステップ。
黒糖おいなり恵方巻き
今回作った黒糖おいなり恵方巻きは、すし飯に巻き込む具材は三つ葉もしくはせり、と大豆煮豆の2種類ですが、三つ葉やせりだけでも大丈夫、沸騰した湯に10秒ほど漬ければ茹で上がるので、ぎゅっと絞って3〜4cmにカットすればもう準備OKです。
まきすにラップを敷いてじゅわっとおだしがしみたお揚げさんを少し絞って乗せ、すし飯(今回はちりめん山椒と白ごまを混ぜています)を広げて三つ葉と大豆を並べ、端からくるくるとロール状に巻いていけば完成です。今回は巻きすを利用しましたが、ラップだけでも作れます。
すし飯は、炊きあがったごはんに合わせ酢を混ぜて作りますが、時間がなければ市販の「すし酢」を使ってもOKです。
いつもは半分くらいのやや長めにカットすることが多いのですが、切り口にちょこんと覗く大豆がかわいいので、今回は小さめにカットして切り口を見せて盛りつけていただきました。
生春巻き恵方巻き
生春巻きの恵方巻きは、生春巻きを巻き慣れた人向きかもしれません。
本来はきゅっと締まらせて巻くのがポイントですが、ごはんを入れているせいでどうしても巻きが甘くなってしまうからです。
が、今回みなさんがんばって下さり、それぞれに力作の具だくさんの巻きずしができあがりました。
具材は、今回は少しエスニック。
スウィートチリソースで味つけます。
ごはんを巻く生春巻きは、おすしでなくてもチャーハンなどでもできますし、手で持って食べられるのでお弁当にも便利です。
また生春巻きのレッスンもしますので、生春巻きに慣れたらどしどしごはん巻きも作って楽しんで下さいね。
初午いなりずし
「初午」とは、2月の最初の「午」の日のこと。
京都伏見稲荷大社が稲荷神を擁して創建されたのが711年の初午の日だったと伝えられているとのことで、毎年初午の日に伏見稲荷大社だけではなく、全国の稲荷神社で「初午祭」が開催されて、商売繁盛や家内安全、無病息災が祈願されると言う日だそうです。
稲荷神のお使いのキツネの好物がお揚げさんということでこの日においなりさんが献上されるため、わたしもこの日にあやかっておいなりさんを作ります。要は、大好きなおいなりさんを作るのにもってこいの日というわけです。
関西のおいなりさんはぴょんと先端がかわいく尖った三角形。きつねの耳を模しているとかいないとか。
一口で食べられるように小さく作るのが私のお気に入り。今回もこの「ちびいなり」をみなさんにご紹介。
こちらも、お揚げさんの含め煮が味の決め手です。
お砂糖がたくさん入るのですが、中途半端に控えずに潔くしっかりと甘く仕上げるのがおいしいおいなりずしのポイントです。
呉汁
「呉」(ご)とは、大豆を水につけて柔らかくなった大豆をすりつぶしたもののことを言います。呉を入れたおみそ汁が呉汁。
全国各地にある郷土料理らしく、鹿児島県の呉汁が有名とありました。
おいなり恵方巻きのために大豆をゆでたので、その残りの大豆といろいろ余ったお野菜たち(にんじん、だいこん、大根葉、みつば、せりなど)を使って、今回のおつゆはこの呉汁。
お味噌は、九州の麦味噌を。
大豆の優しい味わいに麦味噌がぴったりでした。
忙しい毎日。仕事から帰るともうごはんをつくる気力もない。気がつけば、もうすぐ2月。
そんなときに、ちょっとだけ気合いを入れて季節を感じるごはんを食卓に並べてみませんか?
忙しい時は、たとえ全部買ってきたものであっても、ちゃんと盛りつけてゆっくり食べたら人心地がつくはず。気づきにくい季節の変化にひととき思いを巡らせてみる、そんな時間もいいものです。
行事食って、今はそのためにあるのかな、そんな風に思ってもみたり。
今年の節分には、そんなひととき、楽しんでみて下さいね。
投稿者プロフィール
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料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。
「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。
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