ヨーグルトメーカーが教えてくれたこと

塩こうじ、甘酒、醤油こうじ・・。

今ではすっかりおなじみの発酵調味料ですが、手作りされるみなさんはどのように作っていらっしゃいますか?

何を隠そう、私はヨーグルトメーカー(ヨーグルティア)を愛用しています。

材料をセットして、温度と時間の設定をすれば、眠っている間にできあがる優れもの。

愛用者も多い今さらながらのヨーグルトメーカーですが、私がこれを使うようになったのには、ちょっとしたエピソードがあるのです。

忙しさのせいにしていたけど

数年前に塩こうじがブームになっている時に、意外にも私は全くの傍観者でした。

放っておけばできるからと言われた塩こうじ、炊飯器で簡単に作れると勧められた甘酒。

そう聞いても、「いやいや、ていねいな暮らしを目指してこれからお料理教室をやろうか、と言う自分がそんなものは使えない、ちゃんとほんまもんのやり方で作れるようになるまでは塩こうじも甘酒も使わないでおこう」とおかしなこだわりに縛られてしまっていたのでした。

今はこんなに忙しいからきっと無理。もう少し時間にゆとりができたら、がんばろう。

でもそれはただのやらない言い訳。

やっぱり、一日一回かき混ぜるとか、温度計で測って60℃を保つとか、本当はそんな些細なことさえ「めんどうくさく」て、ていよく忙しさのせいにして遠ざけてばかりいたのです。

ヨーグルトメーカーっておもしろい

そんなある日のこと、金沢にある「発酵食大学」の先生方の発酵ワークショップが大阪で開催され、本格的な作り方なら学ぼうと受講していた私の耳に先生の予期せぬ言葉が飛び込んできたのです。

「ヨーグルトメーカーで作ればいいんですよ」

え〜? あれ? いいの?

「これで簡単に作れるんだから、どんどん作ってもっと気軽に発酵調味料を使えばいいんです」

なるほど・・・。

さっそくヨーグルトメーカーを買い込んで、使ってみたら、ああら簡単。

おもしろいように簡単に塩こうじや甘酒ができあがってしまうのです。

ていねいな暮らしってなんだ。今までのこだわりってなんだ。

ずっと、手作りのものを作り出すことがていねいな暮らしだと思い込んでいたけれど、それを日々の暮らしの中で使いこなして初めて暮らしが豊かと言えるのではないか。

ちょっと見くびっていたヨーグルトメーカー、ごめんなさい!と改めて思い直した瞬間でした。

まずは、便利な道具の力を借りて、作ることのハードルを下げてみる。

ほんまもんの材料を使えば、自然と味はついてくる。

そうして、できあがったものを気軽に毎日の暮らしの中に取り入れる。

それが私の目指す、ちょっぴりていねいな日常茶飯事ではないか。

それ以来、ヨーグルトメーカーは堂々と私の頼もしいパートナーです。

冷蔵庫にはいつも塩こうじや甘酒があって、毎日のごはん作りにかかせないものになりました。

ちょっぴりていねいな暮らしができているように思えるのは、うれしいこと。

難しく考えないで、暮らしの中で色々な物事に自分基準で置いているハードルの高さを下げてみれば、今までよりも心豊かな日々が案外簡単に送れるようになるかもしれない・・・。

ヨーグルトメーカーは、私にそんな大切な気づきを教えてくれたのかもしれません。

投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。