わたしのおすし〜お酢のこと〜

「おとなの飯事(ままごと)」

わたしが作るばらずしやその他のおすしに欠かせないのはお酢。

そのお酢をどんなふうに使い分けているのか、すこしご紹介します。

お酢と一口に言っても世の中には数えられないくらいの種類のお酢があります。

今わたしの家では、主にトップの写真にある3種類の米酢を使い分けています。

京都府宮津市にある飯尾醸造さんの「富士酢」

香川県三豊市の中橋造酢さんの「仁尾酢」

そして一番近い京都市の村尾造酢さんの「千鳥酢」

千鳥酢は、ご近所だけあって地元のスーパーでも手に入れやすいこともあり、日常のごはん作りや酢水に浸す場合などにはこれを使います。

おすしを作る場合には、富士酢と仁尾酢を使い分け。

うまみとこくのある富士酢は冬場のおすしに、きりりとキレのある仁尾酢は暑い夏場に作るおすしに。

あるいは、濃いめの味のすし具材や飾りに卵や魚肉などを使う場合にはすし酢はさっぱりと仁尾酢にして、あっさりした野菜ばかりのベジばらずしの場合にはすし酢は旨味の強い富士酢にする・・・。

うどやさくらのはなびらのおすしのように、上に飾る具も甘酢漬けになっていたりする場合には、すし酢と甘酢漬けの酢はわざわざ種類を変えて味がかぶらないようにすることもあります。

うどの輪切りやはなびらの1枚1枚を味わって食べるわけではなく、おすしとしてひとまとめにして食べるので、そんな細かなこだわりは必要ない、かもしれないのですが、いやいやそれぞれに違う風味のお酢を使っているからこそ、ひとくち口にしたときの味に深みが出ているのだ、とわたしには思えます。

それぞれのお酢を直接なめてみるとかなり味の違いがありますが、すし飯にしたててみると、どのお酢もほかの具材とうまく馴染んで、それぞれの個性は残しつつも主張しすぎず、上手におすし全体を引き立てる脇役に回ってくれるのはさすがです。

写真は、それぞれの色の違いです。

たとえば、大根やうどのように白いものを白いまま漬けておきたい場合には、富士酢ではなく一番透明に近い仁尾酢を用います。

「いやあ、これはもう家では作れないレベル…」そう言われることもあるのですが・・・。

いえいえ、お酢にも色々種類があって、味わいや色も千差万別なんだということを知っておいていただければいいのです。

教室で味比べをして、なるほどなあ、って思っていただくだけでいいのです。

お家で今使っていただいているお酢でももちろん美味しく作れます。

でも、一度味比べをしておいたら、今度外でごはんを食べたときに酢の物の味に興味がわくかもしれないし、旅に出た先で地元のお酢に目が留まるかもしれないし・・・。

そうやって暮らしの中にアンテナをはる楽しさを見つけていってもらえることも、この「おとなの飯事」のたいせつなオマケです。

今回は日本の米酢だけをご紹介しましたが、すし酢にはワインヴィネガーや白バルサミコ酢、黒酢、それに果物酢、柑橘の絞り汁など米酢以外のものも自由自在に使えます。

季節や食材やTPOなどによっても変わるそんな酢使いのおもしろさも、どんどんお伝えしていきたいなあと思っています。

日本にまだまだ無数にある地元特産のお酢たち。

次はひとまず、福井県河原酢造さんの「老梅」を試してみようと思っています。

河原酒造さんのHPはこちら→→

どんな香りの風味のお酢なんでしょう。

今からとっても楽しみです。

河原酢造さんのHPより

投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。