ピンチをチャンスに!

【ピンチをチャンスに】

先月拝聴した、「百姓屋敷わら」オーナーの船越康弘さんの講演会で心に刺さったことばです。


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18日午前758

震度6弱の地震。

そしてまさかの地元が震源地。

とてつもない揺れと同時に棚から飛び出して大音響で砕ける器たち。とても現実離れした光景でした。

TVでよく見る、地震を模擬体験する住宅メーカーの装置の中にいるのではないかと思いながら、その時間が過ぎ去ると、そこらは割れた食器だらけ。

いやいや、現実に起こってしまったことでした。

なにせ、築40年を超える古いマンションに住んでいるもので、ひとたび今回のような大きな地震に見舞われると、あちこちに手痛い被害が生じるのはやむを得ないこと。

それは百も承知でしたが、まさか本当に起こるとは、しかもなぜに震源地。

屋上の給水タンクの送管の破損による断水
共有廊下の外壁の歪みによる壁の破損と玄関ドアの開け閉めの不具合
室内の壁にもいくつかの小さな亀裂
食器の大量破損

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猫たちは怯えて隠れてしまうし、都市ガスの供給は止まってしまうし・・・

初日は、さすがに恐怖と不安と落胆とで気持ちも沈んでしまいました。
同じ規模の余震が来たら、逃げなくては・・・ 住めなくなるかも・・・


ですが・・・
古いけれど、管理システムがしっかりしているのがこのマンションのよいところ。
早速管理員さんが一軒一軒回って、被害状況の聞き取りと、給水タンクの現状の報告をしに来て下さいました。

復旧がいつになるかわからない不安というのは心に大きくのしかかります。ところが、明日になるにせよ、明後日になるにせよ、「今もう業者さんの手配は終わっています。」と言われたら、よしもう少し我慢すれば・・・と気も軽くなり、こちらも何をどれだけ用意すればいいのか何を我慢すべきなのかの見通しも立つというものです。

それから日も暮れ夕方になって、自治会の役員さんが渡して下さった紙切れには、驚くほどの早さで復旧する水道の予定が書かれていました。

最後に記された「怖いですが、がんばりましょう」

この一言は、きっと魔法のことばです。

いつもは滅多に顔を合わさないマンションの住人同士でもこんな時にはきっと助け合える、そう思ったら、急に勇気がわいてきました。

地震の翌日にあたる昨日には、朝から壊れた外壁の点検と応急処置に、そして、鍵のかからない歪んだ玄関ドアの修理にとそれぞれの業者さんがやってきて下さって、3日目の今日にはわがやも玄関にちゃんと鍵をかけて眠れるようになりました。

思いもよらない自然災害。
思いもよらない手痛い被害。
でも、そんなピンチの時にこそ、大きく声に出して「チャンス!!」と叫んで下さいと船越さんはおっしゃいました。

チャンス!!

口にしてみると、ピンチと思っていたことが実はあらためてあるいは新たにいろいろなことに気づかせてくれる種を蒔いてくれたことがわかってきました。

・人のつながりや人の優しさ
・どうぶつたちとの絆の大切さ
・暮らしの工夫
・家庭内の危機管理の見直し
・自分の弱さや自分の強さ

ガスの復旧はまだ先のようですが、おかげでお風呂を借りに娘夫婦のうちに足繁く通えるし、カセットコンロやホットプレートがあるので、レンチンのお世話にならなくてすむし。

せっかくの機会なので、明日の夜はたこ焼きにします。

「あとからきっと、あのときのピンチがあったから、今の自分がある、そう思える日が来ます!」
「絶対に!!」
そんな、船越さんの力強いメッセージ。

わたしのピンチなんて、まだまだピンチのうちには入りもしない。
そんなふうに思えてきます。

だって、目の前で身内を亡くしたり、辛すぎる情景を目の当たりにしたりすることもなく、こうやって明かりのついた自分のうちで温かいごはんを家族と食べることができている。
なんてなんて幸せなこと。

蛇口をひねればふんだんに出る水に思わず「ありがとう!」って呟きたくなる、そんな気持ちでいっぱいです。

そんなこんなで私はとても元気です。

投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。