骨董のお重に憧れて

知り合いの骨董屋さんに初めて伺ったときに、一目惚れしたお重箱がありました。
30cm四方はあろうかと思われるほどの大きさに優に6cmは越える深さの五段重。
黒の漆にりっぱな松の蒔絵とモザイク模様、2枚ついている蓋の裏には三羽の飛翔する鶴が描かれている、クラシックとモダンが混じり合った美しい絵柄です。
聞けば、大正時代のものだとか。
少し色あせた木箱の中で休む姿には気高ささえ感じられます。
欲しかったけれど、お値段も張るし、第一こんなに大きなお重は使いこなせない・・・そう思ってすっかりあきらめていたのです。
それが、骨董屋さんがお店終いをされることになり、たくさんの骨董の品々をまとめて売り渡されるというお話が持ち上がりました。
そうしてこのたび、たくさんの器と一緒にこのお重箱もわがやにやって来てくれたのです。
今までどこでどんな人の暮らしごとに寄り添ってきたのだろう、ハレの日にはどんなお料理が盛られてきたのだろう・・・骨董の器たちには、それぞれの過ぎ去りし日々を思い浮かべながら眺め、使うという楽しみもあります。
いつかこの五段のお重にていねいにお節を盛ってみたいと、お重をそっと拭きながら思った昨日でした。
こちらは、黒塗りのシンプルな御膳
こちらは、金銀の根引きの松の絵。 かなりおめでたい。
譲り受けたその他の器もこれから少しずつ紹介していこうと思います。
投稿者プロフィール

-
料理家。 だしソムリエ1級。 ときどき、獣医師。
「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、季節を感じる食卓を分かち合うごはん教室開催やごはん作りの家庭教師、出張一日社食など、誰かの食卓をシアワセにするための活動を展開中。
最新の投稿
おうちごはん2021.01.15小正月の朝に小豆粥
レシピ−おうちごはん2021.01.14甘いゆり根で甘くない茶巾絞り
地味滋味べんとう2021.01.12地味滋味べんとう 2021.01.08
季節の食材2021.01.05保護中: ゆずピールの作り方〜12月のおすしの会補講
ここちよさを紡いでいこう〜茶飯事会だより〜

毎週火曜日20時に配信するメールマガジン。
・日々のごはんでここちよさ
・道具や器でここちよさ
・ここちよさを味わうための暮らしごとのヒント
などを週替りでお届けします。
また、オンラインレッスンやリアルレッスンの先行案内もおこないます。