机の上に「今」の季節を

ツバメが飛び交う季節です。

私が住む街のあたりでも、最近少なくなったとは言え、ツバメが忙しく飛び回る姿を目にします。

この2月から、月に一度習い始めたお茶。

お懐紙入れをツバメの柄に替えました。

色も薄浅葱と藍で、急に手元が涼やかになりました。ついでに葉書もツバメ模様。

動物病院に勤めていた頃の私は、目の前にいる患者さんの事でいつも頭がいっぱいで、考えられるのはせいぜい今日と明日のことくらい、いつも目線は下ばかりを向いて、外に広がる「今」の景色やこれからやってくる季節のことなどに思いを馳せる余裕など情けないくらいにありませんでした。

気がついたら、カレンダーは前の月のまま。

スケジュール帳も、真っ白のまま。

次に勤めた専門学校の10数年間では、来期の授業の予定や来春の卒業式のこと、ずっと先の行事のことばかりを考える日々が続きました。

春に新入生が入ってきたと思ったら、もう来年度の入学生募集のことを。

「今」よりも3ヶ月後、6ヶ月後、1年後のこと。1年が何と早く過ぎたことか・・・。

そして、3番目の今の仕事。

相変わらず時間は過ぎ去るし、手帳に書き込むスケジュールは先の方まで埋まってしまいますが、「今」ここにある季節に気づいてはっとしたりほっとしたり、そんな人生の歩き方がやっとできてきたように思います。

暦の巡りと自分の歩みのペースを合わせて暮らす。

まだまだ、思い通りにはいきませんが、まずは手始めに季節の到来を教えてくれるこんな小物たちあるいは器たちを、机の上にそっと置いておくようになりました。

仕事の合間のお茶じかんのとき、パソコンからふと目を上げたとき、目に入ると「そうそう今はつばめの季節だよね」と束の間「今」を感じ取る。

どうってことないけれど、ちょっと和める私の季節の楽しみ方です。

投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。