いばらき北地で豊かな食卓
はやいもので4月20日から二十四節気の「穀雨」に入りました。この時期に降る雨は穀物を育てる大事な雨。
今年の20日は雨ではなく快晴のお天気でしたが、この日は楽しみにしていた、千提寺farm.さんで三島独活の植え付けのお手伝いに行ってきました。
千提寺farm.の中井さんご夫妻と言えば、なにわの伝統野菜「三島独活」の伝統農法による栽培を唯一継承している独活農家さん。2月末から3月末に出荷が終わったと思ったのも束の間、もうすでに来年に向けての栽培がスタートしています。
こんな大変手間のかかる栽培のお手伝いができるのが、独活株主の特典。ですが、一体私が戦力になるのか、足を引っ張ることだけはないように、気合いを入れて臨みました笑
千提寺farm.さんのある場所は、茨木市の北地、別名いばきたといわれる山間部。茨木市街から車でほんの20分も走れば辿り着く場所にありながら、自然に囲まれた静かな場所です。最近は、名神高速の「千提寺」ICができたことでも知られるようになりました。
三島独活を植え付ける圃場はこんな所。
この日のもうひとりの助っ人、あっこちゃんといっしょに、マルチシートに穴を開けて、黙々と独活を植えていきます。
近くで飛び立つカルガモや蛙の鳴き声が時折聞こえるだけの静かな圃場。
前日から比べると急激な気温の上昇があったものの、気が向いたように吹く風は気持ちよく、土のかおりや感触も心地よくて、日頃鈍感になっていた五感がぐ〜っと起き出したような、そんな気持ちの良さを感じました。
一段落ついたらもうお昼どき。
どろんこの長靴を用水路の流れで洗い、軽トラにゆられて中井家に戻ったら、気持ちのよい縁側に腰をおろして、もうひとつのお楽しみ、お昼ごはんの始まり始まり。
おべんとうの楽しみは、このふたを開ける瞬間にこそあるといってもいいくらい。何が入っているのかワクワクするのはオトナだって同じです。
自分で詰めていたってやっぱりふたを取るときには心躍る、それがおべんとうというものです。
白い楊容器はあっこちゃん、お重箱は私。 おにぎりとお味噌汁は中井さんご夫妻が手早く準備してくださいました。
さ、ふたを開けます!!
じゃじゃ〜ん。
なんて豪華なお昼ごはん。
あっこちゃんのおかずは、丸い容器にぴったりのかわいくて美味しいラインナップ。
中井家で穫れたお米のおにぎりと手前味噌のお味噌汁
どこのレストランで食べるよりも贅沢でおいしい縁側ごはん。
午後からの植え付けはこれでがんばらなくてはなりません!
さて、無事に植え付けが終了すると、今度は夕食の支度です。
軽トラに再び乗って向かった先で、せり、よもぎ、かんぞうを摘んできて、朝掘りの筍、三島独活と合わせて山の恵みで何を作ろうか、あれこれ考えるのも楽しみの1つ。
せりは中井さん特製のせりごはんに、かんぞうはあっこちゃんが黒豆味噌の酢みそ和えに、筍・フレッシュ三島独活・せり・クレソンで私は生春巻きを、そして、夕方合流の享子さんに筍、三島独活、よもぎの天ぷらと三島独活のかき揚げを作っていただきました。
夕食の食材のほとんどは、中井さんの畑や田んぼやお庭や近所で調達してきたもの。しかも、穫れたて摘みたてのものばかり。手間ひまのかかった三島独活に、お米に、そして自然の恵みの山菜たち。そのどれもが本当に美味しくて、しかも大家族のような雰囲気で囲むごはんはなお美味しくて、これこそが本当に豊かな食卓だと、この場で感じたのは私だけではないはずです。
三島独活作りは、本当に本当に手間のかかる大変な作業なので、お手伝いが「楽しかった」と言ってしまうのはあまりにも気が引けますが、五感と身体とをフルに働かせることの出来たこの一日は確かに私にとっては貴重な「リトリート」の日。
みんなで食べた晩ごはんもきっと「あのときの忘れられないおもいでごはん」としてずっと心に残るに違いありません。
この日のすべてのできごとにおもいきりの感謝の気持ちを込めて、畑に植えた独活たちに「おおきくなあれ!健やかに育て!」とエールを送ります。
投稿者プロフィール
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料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。
「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。
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