こぼれ桜の下で〜3月自宅教室風景〜

桜月の茶飯事会

さくら前線がようやく大阪にもやってきて、あちこちでさくらが咲き始めました。

まだまだつぼみも堅い頃に開催した3月の自宅教室3日間も、和やかな雰囲気のうちに無事に終了しました。

テーマは 「こぼれ桜のもとで」

満開のさくらも美しいですが、なによりもいちばん私が心奪われるのは、風に誘われてあたかも枝から満ちてこぼれ落ちるかのようにはらはらと花びらが舞う「こぼれ桜」の風景です。

今年もそんなさくらの風景をお料理で表現したくて、花びら舞うばらずしを作りました。

今回は、フォトグラファーの田島聖子さんにお越し頂き、できあがるお料理の過程と食卓とをすてきな写真に仕上げていただいたので、それをみなさんに紹介しましょう。

射し込む光を美しく優しくファインダーの中に取り込んで、絵画のような写真を生み出して下さる聖子さん。

この記事の中でも私の写真と聖子さんの写真の違いは一目瞭然ですね。

3月のメニュー

  • 桜の花びら舞うばらずし
  • 桜海老と菜の花の変わり擬製豆腐
  • 鶏ひき肉のお稲荷煮
  • うすい豆腐
  • 三島独活とうるいといちごの菜の花酢みそドレッシングがけ
  • 三島独活と生麩のお吸い物
  • 手亡豆とマスカルポーネの桜ムース

さくらの花びら舞うベジばらずし

原型はもう10年以上も前から、こうして教室メニューとして披露し始めて3年。私が作るばらずしの中でもいちばんの人気メニューはこの花びらのおすしです。

さくらはやはり特別な花。日本人の心を虜にするのですね。ひとつひとつていねいにはなびらを型で抜いていくとき、みなさんの心の中では満開の桜の景色が広がっています。

桜海老と菜の花の変わり擬製豆腐

本来は、お豆腐を潰して卵と混ぜ込んで作る擬製豆腐。

「変わり擬製豆腐」のこちらは、細かく切った厚揚げを使って厚みを作ります。

今年は、釜揚げの桜海老が手に入らず、素干し桜えびを使いました。可愛いピンク色の鮮やかさの点では、釜揚げに比べて見劣りますが、香りの香ばしさは素干しならでは。

お花見べんとうのおかずとしては主役級になること間違い無しです。

鶏ひき肉のお稲荷煮

一見、いなり寿司かと思わせますが、実は中身は野菜やおからを混ぜ込んだ鶏ひき肉。

いなり寿司に使うお揚げさんの味つけで煮込んだオリジナル料理です。

ひとつひとつを小さくまとめるのがポイントです。作った翌日くらいの方が、味が良く染みておいしいですよ。

うすい豆腐

うすいえんどう豆から作るうすい豆腐。

本当は、葛粉を練って作りますが、みなさんに安定して失敗無く作っていただいて、しかもお花見べんとうにもいれられるおかず、という条件をクリアするのがなかなか葛粉では難しく、最終的にはゼラチンと寒天を両方使って「作りやすく溶けにくい」うすい豆腐ができあがりました。

優しい彩りのさくらの花びら生麩をちょこんとのせておめかしします。

三島独活とうるいといちごの菜の花酢みそドレッシングがけ

早春の使者の三島独活。

イチゴとの色の組み合わせの美しさもさることながら、その甘酸っぱい酸味に出会うと独活の香りがよりいっそう引き立つ気がします。

これに、きれいな若菜色のうるいと菜の花ピュレを混ぜ込んだ酢みそを合わせたら、それだけで春が来た!とウキウキします。

三島独活と生麩のお吸い物

生でもおいしい三島独活を生のままあしらったお吸い物です。

生麩は、よもぎ麩だったりさくら麩だったりと日によっていろいろ。撮影のこの日は、お雛祭りにちなんだこの時期限定の菱もち麩です。

手亡豆とマスカルポーネの桜ムース

白餡の原料として使われる手亡。

手亡をコトコト煮て餡にして、マスカルポーネに甘味と桜花を混ぜてほんのりピンクの桜クリームを作りました。

ばらずしにもお稲荷煮にもお砂糖が使われているので、食後の甘味はほんの少しのはちみつだけ。

桜の香りが引き立ちました。

お土産はばらずしのおべんとうに花びら抜き型

お持ち帰り用のばらずしのおべんとう。

銘々に作ったおべんとうは少しずつ飾り方も違って好みや個性が出ておもしろい!

京都「有次」の花びらの抜き型もお土産に。

これは、おうちですぐにでもこのばらずしを作っていただきたいがため。



さくらの宴にはおいしいお酒も欠かせません。

さくら酵母を使った茨城県来福酒造の純米酒「来福」。

さくらの花びらを浮かせれば、インドアお花見は完成です。

お花見べんとうに仕立てられるおすしとおかずを用意した今回のお料理教室。

お花見本番となった今、ぜひぜひ桜の木の下でおべんとうを味わい、本物の桜の花びらを浮かべた杯で乾杯をして下さいね。


投稿者プロフィール

清水かおり
清水 かおり
料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。

「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。