再びの淡路島〜お泊まり茶飯事会料理教室〜
令和2年が明けて最初の三連休の2日間、昨年の夏にお連れして好評を得ました淡路島の貸し切り別荘ホテルで、「一泊二日のお料理教室」を開催しました。
いつもの教室とは違い、旅のリラックス気分も少し味わってもらいつつ、レッスン後も帰宅時間を気にせずにゆったりと食卓を囲んでおしゃべりを愉しむ、そんなスペシャルな茶飯事会です。
今回のテーマは「カラダに優しい冬の薬膳ごはん」
クリスマスや忘年会、お正月に新年会など美味しい行事が目白押しの年末年始。ついつい食べ過ぎや飲み過ぎになってしまったという方はきっと少なくないでしょう。
また、家族や親戚が集まるお正月の準備やおもてなしでくるくると忙しく働いて疲れたという方も多いと思います。
私は、その両方だったかもしれません。
開催日はちょうど小正月と言われている1月15日のすぐ近く。小正月は、「女正月」とも言われていて、お正月の準備や接待で忙しかった家庭の女性の労をねぎらう日でもあるのです。
そこで、今回の教室では、年末年始でお疲れのカラダを労り、カラダだけでなくココロにもしっかりパワーチャージできる冬のごはんをご紹介したいと思いました。
今回、一緒にお料理を教えてくださる心強いパートナーとして来ていただくことにしたのは、「ことことの庭」を主宰されている田村 明子さん。
明子さんは、国際薬膳師で薬膳カウンセラーとしても活躍中の薬膳のプロなのです。
なぜ、薬膳?
「『薬膳』って聞くと、とても難しそうだけれど、実は日常のごはんにも取り入れやすい」
薬膳という言葉がけっこう馴染みあるものになってから、このことばを目や耳にすることが多くなってはいませんか?
だけど、カラダを冷やすとか温めるとかややこしそう・・・実はわたしもそう思っていました。ですので、日頃の私のレッスンでは薬膳ということばを持ち出すことはほとんどありませんでした。
でも、「カラダを労るごはんがすなわち薬膳なんです」と明子さんは言います。
なるほど!
明子さんとあれこれ献立の打ち合わせをしている中で、薬膳の考え方って意外といつものごはんと繋がっているんだ、とあらためて感心することが多かったのです。
たとえば、柑橘類はほとんどが身体を冷やす中で、みかんと金柑は唯一身体を温める作用があることだったり、私が提案した献立も、冬の食材を取り入れたものにしていたら知らず知らずのうちに薬膳の理にかなっていたり。
あらためて眺めてみると、日本の昔ながらの食卓は実は「身体によい食材」で溢れていることがわかりました。
さらにおもしろいのは、そこにあとひとつ別の食材を足すだけで、ますます身体にとってプラスとなるごはんができあがること。しかも美味しい組合わせ!
ますます献立作りが楽しくなってきたのです。
専門的で豊富な知識でキラキラと瞳を輝かせながら説明してくれる明子さん。
一緒に私も同じように瞳を輝かせ、時間が経つのも忘れて話し込み、一緒に淡路島でのステキな一泊二日の献立を完成させることができました。
献立
夕食
- 前菜
クロスティーニ2種
ひじきペーストといちご
手亡豆のクルミ入りペーストとりんごの甘煮
かぶと金柑のケーキ風
大根の花びら餅風サラダ
- 冬野菜のせいろ蒸し・・・ゆず味噌チーズディップ
- 天然海老と乾椎茸入り里芋のお揚げ焼き
- ゆり根とほたてのソイグラタン
- キャベツと干し海老の蒸しサラダ
- 特製薬膳鍋
朝食
- 薬膳粥
- 真鯛の柚子釜蒸し
- きんぴられんこん
- かぶの浅漬け
- かぶの葉と釜揚げちりめんの生姜醤油和え
教室風景
場所は、昨年の夏と同じ、La Terrase Awaji ラテラス淡路。
宿泊者のみの貸し切りで、プライベートステイができる別荘ホテルです。
一度使っているので、勝手がわかっている厨房。新しい調理器具も増えていて、お料理をする前から期待が高まります。
お料理教室〜夕食作り〜
この日は、雨模様のお天気予報。幸い、雨はほとんど降りませんでしたが、寒い一日になるだろうと、ウェルカムドリンクは、グリューワインに。
いつものわがやの作り方は、あたためた赤ワインにシナモンスティックと、クローブとカルダモンのホール、甘味は黒糖、そして金柑の輪切りです。明子さんによれば、これらのスパイスも黒糖も、そして金柑もカラダを温めてくれる食材だそう。先人の知恵は国を問わず、優れているのですね。
ご挨拶とミニ講義のあとは、デモンストレーション。仕上げはみなさんご一緒に。
淡路島の新鮮な野菜はシンプルにせいろ蒸しで・・・
マッシュした里芋に乾椎茸のみじん切り、ここに海老が入ると薬膳の効能もうんとアップ。そんなちょい足しの工夫がおもしろいおもしろい。 薬膳がぐっと身近になった瞬間です。
薬膳の効能たっぷりの明子さんのお料理はこちら。
前の日に、明子さんが何種類もの具材をことこと煮込んで用意してくれた特製の薬膳お出汁。 陳皮や高麗人参、当帰、山査子、クコの実、なつめという中薬も入っています。
これに、たっぷりのきのこ類とにらや豆苗、豚肉を入れていただく薬膳鍋は絶品でした。
〆は、卵の代わりに長芋をすりおろして加えたおじや。カラダはすっかりポカポカです。
食後のおしゃべりの後には、生徒さんである友紀先生のお抹茶とお手作りの和菓子の振る舞いも。
薪ストーブは、いつまでも燃え続け、楽しいおしゃべりとともに夜は更けていきました。
朝食
翌朝の海です。海の向こうに見える大阪平野の空がだんだんと明るくなっていきます。
朝食の準備は、明子さんが薬膳粥、私は現地で買った真鯛を使って柚子釜蒸し、小松菜と釜揚げちりめんの生姜醤油和え、。それに、昨夜から仕込んでおいたかぶの浅漬けです。
気がつけば、朝日がすでに高いところに。今日は晴れそうです。
陽射しが美しくさし込むダイニングテーブル。朝の光にはいつも元気をもらいます。
湯気もごちそうのうち。
18時間あまりの滞在は、あっという間でしたが、参加いただいたみなさんからは、「薬膳っておもしろい」「すっかり薬膳の虜になりました」「すでになんだか元気になりました」といううれしい声をいただきました。
薬膳って特別なものではなくて、日常のごはんの中に息づいている・・・
わたしも今回の明子さんとのコラボ教室で、そのことを実感しました。
私が大好きな沖縄では「食べ物はぬちぐすい(命の薬)」といいますが、人はどこに暮らしていても、食べ物が人のカラダとココロの健康を左右する大切な糧であることを遠い昔から知っていたのでしょう。
ごはんを食べると言うことは、本当に奥が深いですね。
何を食べるか、どのように食べるか、だれと食べるか、そのひとつひとつが組み合わさって食卓に向かう人のしあわせを形作る・・・
こんなごはん作りの楽しさを、今年も茶飯事会ではみなさんにお伝えし続けていこうと思います。
ステキな薬膳を紹介して下さった明子さん、ご参加下さったみなさま、どうもありがとうございました。
投稿者プロフィール
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料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。
「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。
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