5月「小満の茶飯事会」教室風景
昨年から始めた自宅お料理教室「茶飯事会」もおかげさまで1年を迎え、この春からは、月1回の開催となりました。
初回5月のテーマは、 「初夏のみどりを楽しむ松花堂べんとう」
開催時期はちょうど二十四節気の「小満」。
春に芽を出した草木もすっかり濃い緑に生長してベランダから見える景色を爽やかにしてくれ、お天気にも恵まれて、まさしく初夏の緑を楽しむレッスンとなりました。
松花堂べんとう
今回のメインはこのおべんとう箱。
母が自宅でのおもてなしによく使っていたものです。
10年ほど前に譲り受けて、本来の松花堂べんとうにだけでなく、お正月のお重として、ばらずしのおもたせに、前菜のフィンガーフードを並べるトレイ代わりにとわがやではたくさん活躍してくれている大切なおべんとう箱です。
今月のレッスンでは、食べ物たちの活気を緑色のトーンにまとめて、この四角い箱の中にたくさん閉じ込めてみました。
5月のメニュー
- アスパラガスとクリームチーズ、ひじきの灘和え
- あおさの寒天寄せ
- 青トマトのおからタブレ詰め
- 真鯛のそら豆揚げ
- お刺身ロール・・・お抹茶のたれで
- 翡翠茄子と紫茄子の揚げ浸し…白龍素麺添え
- おにぎりボール
- じゅんさいとオクラのお吸い物
- お楽しみの甘いもの
前菜4種
アスパラガスとクリームチーズ、ひじきの灘和え
酒粕を使った和え物を灘和えと言います。
すこし季節外れになった酒粕ですが、今回は旬の本わさびのすり下ろしと混ぜて和え物にしてみました。
こんな器に盛ってみると、一品でもりっぱな前菜になります。
あおさの寒天寄せ
春先に長崎県の対馬から送っていただいた、生のあおさ。
冷凍しておいても美しい緑色はそのまま。その色を活かして寒天寄せに。
本当は白い器に盛ってこそその美しさが際立つのですが、今回は黒い箱の中。せっかくの色が全く映えなくなったので、てっぺんにオクラを飾りました。
青トマトのおからタブレ詰め
タブレは、もともとクスクスを使ったフランスの国民食的サラダのこと。
ハーブの他に野菜をたくさん刻んで入れて彩りも鮮やかに作られることが多いタブレですが、今回はクスクスをおからに代えて緑色ベースの仕上がりになるようにハーブだけを混ぜて作りました。中でもパセリの味がいちばん馴染みやすく、ミントがよいアクセントとして活躍してくれるように思います。
真鯛のそら豆揚げ
今回のレッスンのメインとして紹介したいのがなんといってもこのそら豆揚げです。
生のそら豆を細かくして衣にして真鯛に切り身にまぶしてからりと揚げたこの季節らしい一品です。
揚げているとそら豆のよい香りがあたりに漂い、思わずおなかがすいてきました。
この季節のそら豆のなんとおいしそうなこと。
ぜひ、ハレの日のごちそうとしても作っていただきたいおすすめの揚げ物です。
お刺身
お刺身ロール お抹茶のたれで
薄造りの白身魚のお刺身でディルや貝割れなどのハーブや薬味を巻いた物がお刺身ロール。
薄造りのお刺身はフレッシュな生でも昆布締めでもどちらも美味しくいただけます。お刺身は、仕入れによってめいたカレイやひらめなど季節の白身魚ならなんでもよくあいます。
今回のオススメは、むしろオリジナルのお抹茶たれのほう。
お抹茶のきれいな緑色を損なわず、しかもお刺身のたれとしてお茶の苦みとともに甘味やうま味も持ち合わせるよう、いろいろ試してみましたが、最後はこれに決まりました。
結果は、みなさんに大好評。季節の味に決定です。
揚げ物
翡翠茄子と紫茄子の揚げ浸し 白龍素麺添え
美しい翡翠色が目にも美しい翡翠茄子。揚げたてのなすの皮を素早く剥くことで、このきれいな色が手に入ります。ただし、それにはちょっとしたコツが必要。今回はそれをお伝えしましたよ。
白龍素麺は、糸のように細い三輪素麺ながら、麺のこしは強くて時間を置いてものびることのない美味しい奈良特産の素麺です。
揚げたなすとそうめんを合わせ、一番だしで作っためんつゆをはって揚げ浸しにしたら、初夏らしい揚げ物となりました。盛っているのは、香り糸ネギ。まだ余り広くは流通していませんが、新しい薬味として人気が出そうなネギのスプラウトです。
ごはん
おにぎりボール
松花堂べんとうでは、ごはんは物相型(もっそうがた)で抜いて入れられる場合が多いのですが、それではちょっとおもしろくないと思ってしまうのが茶飯事流。
今回は、ころころとまん丸の小さなおにぎりボール3つにしてカワイさを出してみました。
まん丸のおにぎりを作るのは意外とむずかしいもの。そんな時の内緒の秘密兵器を披露したら、みなさんはびっくり、にっこり。
おうちでも簡単に手に入るものなのですが、さあ一体なんでしょう??
今月のあしらい
今月のあしらいに使ったのは、葉わさびとお茶の葉です。
お茶の葉は箸置きにもアレンジして、その鮮やかな緑色をたっぷりと目で楽しみました。
今月の食後の甘い物
笹ほたる
京都 和久傳さんには季節毎に定番の棹物があります。
夏はこの笹ほたる。
夏の夕べの笹にほのかな光をともすほたるの明かりを表現した美しいお菓子です。
ずっと眺めていたい。 日本に生まれてよかった。 いただく度に何度も抱く幸せな気持ち。
抹茶風味の白小豆の水ようかんにほうじ茶ゼリー。もちろんお味も絶品です。
紅花菓子「紅〜くれない〜」
同じく 和久傳さんのお菓子、紅。天然の紅花で淡く染まった落雁です。
レッスン最終日の5月26日は、ちょうど小満の次候 紅花栄〜べにはなさかう〜にあたるので、この時期に因んで、このお菓子をお出ししたいと思いました。
今月は手作りのおやつはご用意せずに、一保堂さんのお新茶と合わせて、食後のひとときをこの二つのお菓子で楽しんでいただきました。
教室風景
3日間、お天気にも恵まれ、ほんとうに気持ちのいい風が吹き抜ける中でレッスンをすることができました。
ご参加くださったみなさん、どうもありがとうございました。
これからの季節のハレの日にもケの日にも使えるレシピをご紹介しました。
おもてなしにおうちごはんに日々のおべんとうにたくさん活用していただけたらうれしいです。
投稿者プロフィール
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料理教室「茶飯事会」主宰。食卓カウンセラー。ときどき、獣医師。
「ていねいな暮らしはちょっぴりていねいな日常茶飯事から」をコンセプトに、「おとなの飯事(ままごと)〜四季折々のばらずしの会」や季節のごはん教室、出張ごはん、など、誰かの食卓をシアワセにするためのお料理活動を展開中。
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